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制服の王子様(オジサマ)抱き枕カバー
ジェイムズ・バーンズ

――ジェイムズさんが倒れた。

ハワードさんに聞いて慌てて救護室に駆けつけると、並んだベッドのひとつに、案外元気そうなジェイムズさんが横たわっていた。他には誰もいないようだ。

「どうした、慌てて……今日は調査の日だったか?」

ジェイムズさんは首をかしげ、わたしを見る。こちらの心配も知らず、なんて呑気な。

「どうしたって、ジェイムズさんが倒れたって聞いたからですよ! 大丈夫なんですか!?」

「……ハワードだな。大げさな言い方を……。私は……ただ会議中に居眠りをしただけだ」

ジェイムズさんはひとつため息をつくと、仏頂面でそう言った。

居眠り……? ジェイムズさんにしては珍しい。

ジェイムズ・バーンズ

「寝不足のせいだろうと、ハワードにここへ追いやられてな」

そう言いながら書類をめくっている。よくよく見ると、ベッドにはファイルやメモ帳やペンが散乱していた。こんな所まで持ち込んで、仕事の続きをしているらしい。制服もきっちり着こんだままで、休む気はなさそうだ。

ジェイムズさんは自分の身体をないがしろにしがちだ。ストイックなのもいいけれど、体調管理も仕事のうちのはず。何より、ジェイムズさんは元気でいてくれないと、わたしが困る。

「じゃあ寝なきゃ駄目じゃないですか! 書類を置いて、早く寝てくださいっ!」

今回はさすがに灸を据えなければと、眉間に思い切りシワを寄せ、腰に手を当て叱りつける。

「む……」

怒った時のジェイムズさんの迫力には程遠かったものの、わたしの常ならぬ様子に少しは怯んでくれたようだ。ジェイムズさんは口を噤んで、それからもごもごと口を動かした。

「君は……心配して来てくれたのか。………それはすまない」

「謝るより、休んでくれた方が嬉しいですけど」

「……それができれば苦労はないが……」

「……というと?」

「………言ったろう、寝不足だと。身体が疲れている事は重々承知しているが……」

つまり、寝ようとしても寝付けないから仕事をしていた……というのが本心らしい。

ならば、手助けしてあげなければ。

「そんなに制服着こんでたら当たり前ですよ。リラックスした方が眠りやすいはずです」

「そうか、そういうものか……」

素直に上着を脱ぎだしたジェイムズさんにほっと息を吐いて、わたしはベッドの上の書類たちを片づけた。あとはマッサージでもしてあげれば、案外寝付いてくれるかもしれない。

ふと顔を上げると、ジェイムズさんはネクタイを外し、シャツのボタンを外している所だった。

ジェイムズさんの肌――その胸元に傷跡を見つけ、ドキリとする。

「ジェイムズさん、それ……」

「うん?……お、おい」

慌ててシャツのボタンを外すと、傷跡は無数にあった。

胸のした、お腹、脇腹、鎖骨――小さな切り傷から、銃痕まである。

綺麗な白い肌に残る、戦いのきずあと。

ああこの人は軍人だったのだと、今更ながらに思い出す。

悪夢を見る事も多いと、以前聞いたことがある。寝つきが悪いのはそのせいなのかもしれない。

きずあとはこの人の身体だけでなく、きっと心にもあるのだろう。

それを癒す事は出来ないかもしれないけれど――せめて、何か力になりたいと思う。

「………痛いですか? 消毒、したほうがよければ手伝います」

見上げると、青い瞳が優しく笑った。

「いや……その必要はない。古い傷だ。……もう痛む事もない」

シャツを掴んでいたわたしの手を取ると、ジェイムズさんは自分の頬にぺたりとあてた。

「……手が温かいな。君の傍なら、よく眠れそうだ」

するりと、冷たい顔をすりつける。

あまり見た事のない、その甘えるような仕草に――どぎまぎしてしまう。

「……手ぐらい、いくらでも貸しますよ」

「いや――そうだな」

一度否定してから、ジェイムズさんはフッと男っぽく笑った。

ジェイムズ・バーンズ

「ならば、君も一緒に眠るか……?」

柔らかく腕を引かれる。

無理にとは言わない、君が受け入れてくれるなら――青い瞳はそう言ってわたしを誘う。

断る理由はなかった。

わたしは今日、あなたを労わるためにここにやって来たのだから。